MEDICINE

インフルエンザの季節が変わった?流行・ワクチン・検査のこと

インフルエンザといえば「冬に流行する病気」というイメージがありますが、特に2020年冬から始まった新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の流行以降、以前のような一定の流行パターンがみられなくなっています。ワクチンはいつ接種すればよいのか、検査キットはどう使えばよいのか。インフルエンザの流行、ワクチン、検査について、知っておきたいポイントを紹介します。

DATE

2026/09/30

CATEGORY

DEPT

感染免疫内科

インフルエンザの流行パターンとは

2026年疫学週第35週(8月24日~30日)に報告されたインフルエンザ陽性率。日本5.15%、インドネシア21.30%、ニュージーランド59.66%
出典:World Health Organization (WHO), Global Influenza Surveillance and Response System (GISRS) – Influenza and other respiratory virus surveillance outputs dashboard, 2026. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO(2026年9月14日閲覧)

インフルエンザ(季節性)といえば「冬に流行する病気」というイメージがあります。コロナ流行前の日本では、12月頃から患者さんが増え始め、1~2月に流行のピークを迎え、その後、春に向かって減少していくパターンが一般的でした。年末年始の休みと流行のピークが重なることも多く、休日の医療機関に発熱患者さんが集中して、待合室に行列ができることも、日本の冬の風物詩になっていました。

実は、インフルエンザが冬に流行するというのは、世界共通の現象ではありません。流行時期は、国や地域によって異なります。温帯地域では冬に流行することが多い一方、熱帯・亜熱帯地域では雨季を中心に流行するところもあり、年間を通して流行しているところもあります。

そのため、海外から帰国した人が夏に発熱した場合には、渡航先の流行状況によってはインフルエンザも疑う必要があります。季節だけで判断せず、渡航先や現地の流行状況を踏まえて、夏でもインフルエンザの検査を行うことがあります。また、夏にインフルエンザが流行する地域へ渡航する場合などには、時期・流行状況に合わせてワクチンを接種することもあります。

日本のインフルエンザの流行時期はどう変わったの?

日本でも、コロナ流行以降、インフルエンザの流行時期は大きく変化し、以前のような決まったパターンには戻っていません。

コロナが本格的に流行した2020~2021年の冬には、インフルエンザの流行はほとんどみられませんでした。その後は、秋から冬に流行する年もあれば、夏から患者さんが増える年もみられるようになりました。

このように、流行する時期や規模は年によって大きく異なり、現在は「いつ流行するのか分かりにくい」状態になっています。

いつワクチンを打つべき?

インフルエンザワクチンは、重症化リスクの高い人を中心に、幅広い年齢層で接種されています。流行時期が変化している近年、「いつ接種するのがよいのか」という質問もよく聞かれるようになりました。夏にインフルエンザにかかった人の中には「今年はもうワクチンを打たなくてよい」と考えている人もいるかもしれません。

これまで日本では、秋にワクチンを接種し、冬の流行に備えるのが一般的でした。近年は接種開始時期を自治体が判断できるようになっていますが、ワクチンの供給時期などの事情もあり、現在も多くの地域で秋から冬にかけて接種が行われています。私は、これは必ずしも悪い方法ではないと考えています。

流行時期が予測できるのであれば、それに合わせて接種時期を変えるのが理想です。しかし、現在のように「いつ流行するのか分かりにくい」状況では、流行を予測して毎年接種時期を変えること自体が難しくなっています。

そこで、毎年ある程度決まった時期に接種する方法がとられています。流行のタイミングにぴったり合う年もあれば、少しずれる年もあるでしょう。それでも、流行を正確に予測することが難しいのであれば、毎年一定の時期に接種する方法には十分な合理性があります。これは、相場の動きを正確に予測することが難しいため、定期的に備えるという意味で、「積立投資」に少し似ているかもしれません。

私自身は、従来の日本の流行のピークである1月頃を目安として、11月後半から12月初め頃の接種をすすめています。もちろん、これは流行時期が変化している現在における、あくまで実践的な目安です。流行のピークを迎える前に毎年接種することは、その年ごとのリスクに備える「健康への定期投資」と、いえるのではないでしょうか。

検査キットの注意点

インフルエンザが流行する時期には、検査を受ける機会も増えてきます。そこで知っておいていただきたいのが、「検査も万能ではない」ということです。

抗原検査キットで「陰性」でもインフルエンザに感染している(偽陰性)ことがあります。一方で、まれに陽性でも実際には感染していない(偽陽性)ことがあります。検査結果だけで決めつけず、症状や周囲での流行状況などと合わせて考えることが大切です。

また、自宅で検査できる市販の検査キットを利用する場合は、「第1類医薬品」「体外診断用医薬品」として承認された製品を選びましょう。

医療者からの一言

インフルエンザは、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、流行する時期や規模が変わってきています。以前から地域によって流行パターンは異なり、流行の時期を正確に予測することは簡単ではありません。いつ流行しても対応できるよう、基本的な対策を続けることが大切です。

講師 安達 英輔

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感染免疫内科

DEPARTMENT

医科研病院

感染免疫内科

1980年代からHIV/AIDSの診療に携わり、輸入感染症など、国内では比較的まれな感染症の診療も得意分野としています。コロナ流行時には、港区の中心的な医療機関の一つとして、多くの患者さんの診療に携わりました。

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