INNOVATION

難病研究に患者さんや家族の経験・声を生かすには?

-Press Release Summaryー 患者さんや家族の経験や意見を医学研究に生かす「患者・市民参画(PPI)」が広がっています。難病・希少疾患の患者さんや家族を対象に、患者・市民参画の認知度や参加経験などを調査したところ、まだ十分に知られていない実態が明らかになりました。

DATE

2026/09/30

CATEGORY

LAB

公共政策研究分野

PPIのイメージ(生成AIを使用して制作)

FIG.01

ウイルスの遺伝子情報だけを入力に、変異株が「広がりやすいか」を予測するAIモデル「CoVFit」。 — Systems Virology Lab

患者さん・家族の声を医学研究に生かす「患者・市民参画(PPI)」

「患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)」とは、医学研究のさまざまな段階で、計画や進め方に、患者さんや家族の経験・意見を取り入れることです。患者さんや家族のニーズを研究に反映し、研究の妥当性や安全性、社会的な意義を高めることが期待されています。

難病患者・家族212人を調査、研究への参画を知っていた人は約3割

プレスリリースより

公共政策研究分野の渡部沙織特任助教、武藤香織教授、木矢幸孝助教らの研究グループは、難病患者・家族の全国的なネットワーク2団体を通じてオンライン調査を実施し、212人の回答を分析しました。

その結果、「患者・市民参画」を以前から知っていた人は29.7%、実際に関わった経験がある人は20.8%でした。患者会などにつながっている患者さんや家族の間でも、研究への参画が十分に知られていないことが明らかになりました。

患者さんや家族が研究に参画しやすい環境づくりが重要

ほとんどの回答者が患者さんや家族が研究に参画することに何らかのメリットがあると答え、そのうち、84.9%が「病気の研究が進むこと」に期待を寄せていることがわかりました。また、研究への参画を広げていくために必要な支援として、「社会一般への周知」「患者・家族に対する教育の機会」「医療機関などでの情報掲示」が多く挙がりました。

研究グループは、患者さんや家族の声を研究に実質的に生かしていくためには、患者さん本人と家族それぞれに適した情報や学習機会を提供し、研究への参画を支える環境を整えることが重要だとしています。

なお、本調査は患者・家族団体のネットワークを通じたもので、難病・希少疾患の患者・家族全体を代表する結果ではありません。

研究者からの一言

難病・希少疾患研究では、患者さんやご家族が持つ経験や知識は、研究をよりよいものにする大切な力です。研究に関わる機会を一部の人だけのものにせず、誰もが無理なく関われるあり方を、患者コミュニティの方々とともにつくっていきたいと思います。

特任助教 渡部 沙織

/

公共政策研究分野

プレスリリースを詳しく読む

arrow_forward

LABORATORY

公共政策研究分野

先端医科学と社会との接点を研究している「文科系」の研究室です。研究倫理・医療倫理のほか、医療、福祉、労働、家族、地域、文化などの領域も重視し、患者・研究協力者の暮らしに根ざした視点に立脚した政策研究を目指します。

研究室サイトをみる

arrow_forward

LABORATORY

特任助教 渡部 沙織

研究室サイトをみる

↗

RELATED LINKS / 関連リンク

02

システムウイルス学分野 研究室サイト

↗

東京大学医科学研究所 Webマガジン
人と知をつなぎ、未来につながる医科研の“いま”をお届けします。